フィンランドのサウナは、単なる暑い部屋ではありません。空間、熱、蒸気、素材、そして雰囲気が一体となって生み出される、丁寧に調和の取れた体験なのです。
サウナ空間
サウナは、高温・湿気・水分に安全に対応できるよう設計された専用空間です。
十分な断熱性、適切な換気、そして高品質な施工が不可欠です。
しっかりと造られたサウナは、落ち着きがあり、安全で、心地よく感じられるものです。
また、サウナ特有の環境を理解した専門家によって、設計・施工されるべきです。


ヒーター – サウナの心臓部
サウナヒーターは、サウナの心臓であり魂ともいえる存在です。ヒーターの大きさはサウナルームの容積に合っていなければならず、内装に使われている素材もヒーター選びに影響します。フィンランド式サウナのヒーターは、主に薪式または電気式で、いずれも上部にサウナストーンが載せられています。
これらの石がLöyly(ロウリュ)を生み出します。石に水をかけると蒸気となり、サウナ全体にやさしく広がって肌を包み込みます。ヒーターとサウナストーンの品質こそが、サウナ体験の質を直接左右するのです。
Löyly – フィンランドサウナの真髄
ロウリュは、フィンランドのサウナを他のあらゆるサウナ文化と分ける存在です。
フィンランド人は「サウナはどれくらい熱かった?」とは聞きません。
「ロウリュはどうだった?」と聞くのです。
ロウリュは湿度を加えることで、熱をやわらかくし、呼吸しやすく、より心地よいものにします。また、入る人それぞれが体験を自分で調整できるのも特徴です。水は一度に大量にかけるのではなく、少量をやさしく注ぎ、しっかりと蒸発させるのが理想とされています。水をかける位置も重要で、下の石にかけると穏やかな蒸気に、上の石にかけるとより鋭い刺激になります。
熱せられた石に水が触れたときのジュッという音、立ちのぼる蒸気、そして心と体が少しずつほぐれていく感覚―それらが重なり合って、サウナならではの五感で味わう体験が形づくられます。

木、石、火
フィンランドサウナは主に木材で作られています。落ち着いた自然な木材の表面は、温かさと調和を生み出します。構造材には針葉樹が使われ、一方でハンノキやアスペンのような広葉樹は、快適でヤニが出にくいためベンチに適しています。
ヒーターの石は、高熱にも耐えられるよう、耐久性があり均一な大きさでなければなりません。石のメンテナンスは快適なサウナに不可欠であり、定期的に交換する必要があります。
特に薪サウナでは、火がリズムと雰囲気を醸し出します。ゆっくりとサウナを温め、薪が燃える音に耳を澄まし、じわじわと広がるぬくもりを感じることで、深い「今ここ」にいる感覚とつながりが生まれます。

熱を超えて
フィンランド式サウナは、我慢比べや極限を求めるものではありません。大切なのは、バランスを保ち、自分の体の声に耳を傾け、ゆっくりとした時間を自分に与えることです。正しくサウナに入れば、体はほぐれ、心は静まり、魂は安らぎを感じます。
それこそが、フィンランドサウナの本質です。
文:Carita Harju(カリタ・ハルユ)





