カンファレンスで生まれた対話が、人々が帰路についてからも続いたとしたら、何が起こるでしょうか?
それこそが、Kamu Sauna のBecky Pelkonen(ベッキー・ペルコネン氏)と Juho Pelkonen(ユホ・ペルコネン氏)、そして Kotisauna のJason Wong (ジェイソン・ウォン氏)の間に起こったことでした。彼らはSauna from Finland が主催するWorld Sauna Forumを通じて出会い、それぞれが同じような問いにたどり着いていたことに気付きました。その問いは単に「サウナとは何か」というものではありませんでした。現代社会において、人々が求めている空間とはどのようなものなのかという、より本質的なテーマでもあったのです。

サウナの本質や文化的継承について交わされた対話は、その後、カナダ全土をまたぐ協働プロジェクトへと発展しました。そこで探求されているのは、サウナが単なる個人的なウェルネス体験を超え、より大きな役割を果たせるのではないかという可能性です。公共の集いの場が減少し、あるいはますます商業化が進むカナダにおいて、この取り組みはより広い社会的意義を持つようになっています。
ブリティッシュコロンビア州の小さな山間地域からトロント中心部に至るまで、Kamu SaunaとKotisaunaのパートナーシップは、文化的な誠実さを大切にしながら、アクセスのしやすさ、思いやり、そして共有体験を重視した新しいコミュニティサウナのあり方を形づくろうとしています。こうした空間はもはや贅沢品ではなく、現代社会に必要不可欠なものだという考えが、その根底にあります。
コミュニティサウナに対する共通のビジョン
2025年の World Sauna Forum で、コミュニティ志向のサウナ文化を目指す二つの社会的企業、Kamu SaunaとKotisaunaの間に新たなつながりが生まれました。
両団体は、サウナを単なるウェルネス商品や商業サービスとしてではなく、「社会的インフラ」として捉えています。人々が集い、心身を整え、つながりを感じられる場所としての可能性を信じているのです。
ベッキー・ペルコネン氏とユホ・ペルコネン氏が率いるKamu Saunaは、文化的継承、体験デザイン、地域開発を融合したコミュニティサウナのフレームワークと社会投資提案を構築してきました。ブリティッシュコロンビア州ロッキー山脈地域での実証プロジェクトや、カナダ各地での協働を通じて、サウナ文化の本質的な価値を保ちながら、新しい環境へ適応させる方法を模索しています。この取り組みはDestination Canadaの支援を受けており、自治体、サウナ事業者、そしてウェルビーイング、観光、地方経済の発展に関心を持つ社会投資家に向けた、拡張可能なモデルの構築へと進展しています。
一方トロントでは、ジェイソン・ウォン氏が地域主導の都市型サウナプロジェクトを推進してきました。移動式サウナから始まった活動は、都市部で誰もが利用しやすいコミュニティサウナ体験を創出する、より大きな取り組みへと発展しています。
現在、その活動はトロントのEvergreen Brick Worksで進められている大規模な公開プロジェクトとして具体化しつつあります。ここではサウナが、地域社会の日常に溶け込んだ公共の交流空間として位置づけられています。


文化を土台とした出会い
Kamu SaunaとKotisaunaがフィンランドで初めて出会ったとき、両者を結びつけたのは、サウナ文化の国際的な発展には文化的な土台が不可欠であるという共通認識でした。
ベッキー・ペルコネン氏は昨年のWorld Sauna Forumで共同司会者として登壇した際、次のように述べています。
どれほど優れたサウナプロジェクトであっても、その実践を支える文化的基盤とのつながりがなければ継続することはできません。
配慮や相互性、そして文化への理解が欠けてしまうと、サウナはその意味を支える伝統や社会的価値を失ってしまう危険があります。もちろん、その伝統や価値は世界中へ運ばれ、それぞれの土地に合わせて形を変えることができます。しかし、その意味そのものが継承されてこそ、人々は再び集い、コミュニティが育まれるのです。逆に、その意味が失われてしまえば、サウナ体験は簡単に模倣され、商業化され、そして忘れ去られてしまうかもしれません。
両団体にとって、文化的な土台は持続可能性とは切り離せないものであり、むしろ持続可能性を実現するための前提条件なのです。
この考え方は、両者の協働の中で大きな共感を呼びました。ジェイソン・ウォン氏がトロントで草の根レベルからKotisaunaを築き上げる一方で、ベッキー氏とユホ氏は、フィンランドのサウナ文化と現代の公共生活に根ざしたコミュニティ体験やコンサルティング、地域連携を通じてKamu Saunaを発展させてきました。
ブリティッシュコロンビア州クートニー地域での初期活動を通じて、一つの共通認識が生まれました。それは、サウナ文化を世界へ広げること自体が課題なのではなく、サウナの本質的な価値である人と人とのつながりを失うことなく広げていくことこそが課題だということです。
Sauna from Finlandのメンバー企業とともに、サウナを公共空間へ
この協働は、Sauna from Finlandの3つのメンバー企業との具体的なプロジェクトとしても形になっています。Kamu Saunaは、カナダ西部で設計・建設されたサウナをトロントへ輸送することで、Kotisaunaのプロジェクトを支援しました。その中心には、同じくメンバー企業であるHomecraft Saunasが提供した電気ストーブが設置されており、性能面だけでなく、人々が共有体験を楽しめる空間づくりにも配慮されています。
このプロジェクトは、世界のサウナムーブメントの一部で起こりつつある変化を象徴しています。それは、サウナがどのように見えるかだけでなく、サウナが何を生み出すのかに関心が向けられるようになっていることです。サウナは人間関係を育み、帰属意識を支え、そして現代社会ではますます希少になりつつある「人々が自然に集まれる機会」を提供します。
今年、ベッキー・ペルコネン氏とジェイソン・ウォン氏は再びWorld Sauna Forum に参加し、パネルディスカッションに登壇するとともに、 Community Sauna BathsおよびCommunity Sauna Networkと共同で**「Global Action for Community Sauna」**ワークショップを開催しました。このセッションでは、世界各地で生まれつつあるコミュニティ重視のサウナモデルや、アクセシビリティ、公共空間、文化継承をテーマとした国際的な連携の可能性について議論されました。
国際交流から地域での実践へ
Kamu SaunaとKotisaunaの物語は、国際的な交流が長期的な協働と地域レベルでの具体的な行動へと発展した好例のひとつです。
World Sauna Forum は、単なるネットワーキングやビジネス開発の場ではありません。世界各地でサウナ文化を思慮深く、そして責任を持って未来へつないでいこうとする人々が出会う場所でもあります。
ある参加者にとっては、そこで対話が始まります。
そして別の参加者にとっては、そこからが本当の始まりなのです。